・・・されど役者的妹尾blog

太く拡げよう僕の細道   since.2006.4.14
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金比羅さん

金比羅さん。



金比羅1


ちょっと前にね、そう、岡山に音撮りしに行ったときに助監督の水元さんと一緒に行ったのよ。

こんぴらさん。


二人ともちょっとなめててね、チョチョッと行ってササッと帰ってくればいいや的な考えで。

全然。

むちゃくちゃきつい。

暑い日だったのも手伝って、すんごいしんどいことになってしまった。



一番上の本堂にたどり着いたと思って、そこら辺のおっちゃんに



「ゴクローさまです。いやいや、精が出ますなぁ!はははは。」


なんて言っていたら、



「なになに。まだまだ上があるのよ。しんどいからちょっと休憩しているだけよ。」


って。


「・・・あ、そう。まだ上があるの?」


「お兄ちゃん達もせっかくここまで来たんだから行かなきゃダメでしょうよ。ほれ、頑張って。」


「うん、はい、そうそう、ちょうど今から行くところ。」

金比羅2




棒切れを拾って杖代わりにし、うんせうんせと登っていきました。

いやいや、久しぶりです、大量の汗。


元来汗かきで、だいたいの人は


「妹尾、おまえすごいなー。どこからそんなにいっぱい出てくるんだ?」


なんて言われているのですが、この時はもう半端じゃない。


Tシャツ一枚とジーパンだったのですが、上にたどり着くまでにばっbどもシャツを絞りました。


シャツを絞るほど・・・っていうのは聞いたことがあると思いますが、私の場合はボチャボチャと何度も絞れます。

絞れば妹尾汁がいっぱい。

ラーメン何杯分もの量が絞れます。

水元さんも、そういった光景は初めて見たらしく、ボーゼンとしておりましたが私は別に修行してそうなったワケじゃない。

元々。


Gパンのポッケに入れておいた何かのパンフレットも粉々にふやけており、何が書いてあったか判読できません。

金比羅4


↑これ、一番てっぺんに行ったらあったんだけど、エッチな神様なのかしら?








水を飲むところもなく参道まで倒れそうになりながら戻ってきました。



<ジュース1本250円>




高い。

ここまで我慢できたんだからもう少ししたまで降りて250円と200円、150円、120円の境目を見つけましょうよということになり。

おもしろいのかどうかは分からないけど、水元さんは軽い脱水症状で顔面が痙攣していたからおもしろ脳みそになっていたのでしょうね。




で、ずーっと下ってきていろいろとチェックしたんだけど、やっぱりというか別に大した意味もなくだんだんと安くなってきておりました。




「宇治金時、オンザミルク、大盛りで!」



あのかき氷は忘れられない味でした。

日本で一番古いと言われる劇場を見学し(ここではスルーしますが、かなりはまりました。すばらしい!)、知らないおじちゃんに教えてもらったうどん屋さんに。


<お化けうどん>


は?なんじゃそりゃ。

私もうどんに関しましては<マイスター>並びに<サー>の称号を持つ男。

後れを取るわけにはいかないのですが、なに?お・ば・け?

聞いたことねぇ・・・






「狐のことだよ。化かすから。」




上手くも何ともない解説に敗北感を感じつつ食べてみましたが、うううううむ、何というか、その・・・まぁ観光地の味ってことですな。


65点。





ホウホウの体で車にたどり着き、駐車場のおじちゃんに鍵を返してもらいます。


「おいくら万円?」


「そら兄さん、入場証を出してくれな分からんがな。」


「あー、はいはい、これね。」







びちょびちょのポッケから更に細かく分解された、濡れた紙切れを出して思い出す。



「しゃーないしゃーない。神さんとこに来てるんやもの、いろんなことあるわな。ざっくり気分良ぉ1.000円でいっとこ!」





あやうく500円×2枚になりそうなお札を渡してめでたしめでたし?





「88ヶ所?・・・お遍路さんは無理。」




変な誓いを胸に金比羅さんを後にしたのです。









金比羅5



















<麻呂の話 6>



考えて動かなきゃ。



いろんな事を調べました。


針治療、薬草、気孔、マッサージ、果ては祈祷まで。


破裂しそうな頭で考えます。


多くの人に意見を聞きました。



どれもこれも無理。


といいますのも、今の時点で麻呂にはものすごい負荷がかかっていると。

たぶん肉体的には限界を超えているんじゃないかと。


この状態で2度の全身麻酔、そこから復活しただけでも奇跡だ、とも言われました。









相変わらず、というよりもっと頻繁に、1日に3~4回は痙攣を起こします。


わずか体長30cmくらいの子犬が壮絶な声をあげて転げ回ります。

抱きしめてやれば腕の中で転がる・・・



本当に絶対に何が何でも救えないんだったら楽にさせてあげた方がいいんじゃないか?





そんなことが、ふと頭をよぎると必ず麻呂はものすごい元気なそぶりで私の顔をなめ回します。

何度も何度もぺろぺろと。




「お兄ちゃん、辛気くさい。僕そんなこと考えてないよ、必ず良くなるから。僕も頑張るからお兄ちゃんも頑張って!」



そして、見てろと言わんばかりによろつきながらトイレに行き、おしっこをするのです。

トイレの枠からはみ出たところでするのだけれど、私は大きく喜びを伝えてやります。




「麻呂ー、すんごいねー、またできたねー。」



何度も何度もほおずりをして。

私の頬を通して彼の喜びが伝わってきます。



「そーだな、弱音なんて吐いちゃダメだな!麻呂は生きようとして必死なんだから。












すがる思いで最初の病院の門をたたきました。


東大出身の若い優秀な先生です。



「先生、紹介してもらった病院に行きました。
結果は・・・やっぱりダメでした。
このままだとどんどん麻呂が苦しくなるので安楽死させた方がいいって。
でも、少しでもいいから可能性にかけたいんです。
何か、1%でもいいので可能性はありませんか?」





「妹尾さん、私の先生までがそうおっしゃっている・・・無理です。手段がないんです。」


「・・・・。」


「これはどこの病院に行っても変わらない答えです。間違った診断ではありません。」



「・・・はぁ?優秀な東大の先生が言ってるんだから間違いないって事?完璧に1%の可能性もないって事?奇跡もダメなの?それ決めてしゃべれるほど偉い人なの?」




この人間にはもう何も頼まないことを決めた。


エリートのいやらしさが一気に吹き出してきたように思えた。

私のひがみ根性か?

いや、ひがめるほど心に余裕はない。



優秀な自分が判断しているのだから間違いはない、的な人間は私は細胞レベルで拒絶する癖がある。

DNAにもプログラミングされているはず。



くそっ、ニコニコした裏側に何か不快に感じる空気があったがこれだったのか。

まぁ、今はケンカが大切なんじゃなくて麻呂の命。

だったらあとは自分でやろうと一瞬で決める。




「もういい。あんたとは話さなくていい。とにかく、その何万円もするCTスキャンのネガ、ってゆうかその写真をくれ。」



「いやいや、妹尾さん、これは私共の物ですよ。」


「は? おまえ馬鹿か。こっちが金払って命までかけて撮った写真、他人の物だって言うのか。記念写真撮ってもらって金払ってもらわずに帰るのか?」


「いえ、そういうことではなく、・・・」


「いいから渡せ!」


ロビーにまで響き渡る大きな声で、彼がしゃべりかけていたことを完全にふさぎます。

専門的な知識がないので所有権がどっちにあるのかは知りません。

ただ、自分で動くと決めた以上その写真がないと、どういう症状なのかを別の先生に見せることができません。

もちろんもう一度全身麻酔をうつなんて事はできません。




私は人と言うよりもヒト科の雄としてエリート医師と対峙することを選択しました。

ちょっとした賭でした。



私は立ち上がり、


「早く!」


一喝と同時に左手を差し出します。


彼の目線を一瞬も離しません。


渡さなければ私は暴れる。

たぶんこの診察室をめちゃめちゃにする。

警察が来ることになるでしょう。

構わない。

大切な友の命を賭けているんだから、それ以上に失う物なんて何にもない。








目の前の狂いかけた大男にこの封筒を渡せば面倒なことにはならない。




彼が私のような人間だったら意地になって絶対に引かなかったでしょう。

しかし彼はお利口さんと言われる社会派。


私は賭に勝ちました。






「全部済んだら持ってきてやる。麻呂が元気になってたら1から勉強し直せよ。」










本当に麻呂と二人きりで大海原へ、大航海が始まったような気分でした。

前に前に進むだけ。



絶対治してやる。

根拠のない私の気合いを感じたのか、麻呂はまた何度も何度も頬をなめてくれました。









そうだ、一人話を聞いてくれる人がいる。

あの人なら横につながりを持っているかも。

少なくとも何かヒントがあるかもしれない。



アリババが直せるのなら宗教を変えても会いに行くくらいの覚悟はできていました。


ちょっと連絡しにくい気持ちがあったのですがこの時には吹っ飛んでいました。






「もしもし・・・」





何から話せばいいのか上手く整理がつかないまま、一気にまくし立てるように今までのことを話しました。


心あるブリーダーとして多くの犬を育てている人。

私のことを気に入ってくれ、麻呂をただ同然で譲ってくれた人、Hさん。

本当に犬が大好きで、愛して愛して、な人。






「えっ・・・」







Hさんは息を飲みました。


今まで何十年もやってきて、先天性の子とは出会わなかったとのこと。

麻呂の親もおじいちゃんおばあちゃんもとても元気な血統で、安心して譲ってくれたとのこと。



Hさんは受話器の向こうで泣き出しました。




「ごめんね、妹尾君、本当にごめん・・・あんなに元気でやんちゃな赤ちゃんだった子が・・・麻呂は私が引き取るから・・・」



「Hさん、あなたのことだからそう言うと思っていた。だから電話しずらかった。でもね、俺と麻呂はもう飼い主と犬の関係じゃないから。一緒に生きていく相棒だから。心配しないで。二人で戦おうって決めたんだから。」





翌日、私はHさんの自宅に行くことになりました。

電話の後、日本中の友達に電話をして情報を集めてくれたそうです。





奇跡なんてよくあること。

毎週テレビのネタになるくらいはある。

なんなら根性と気合いで奇跡する。




少しだけ、ほんの少しだけ希望が見えてきた気がしました。




麻呂6





夜中に、痙攣で苦しむ麻呂を抱き、私の胸から、腕から、頬から全ての感覚を使って伝えました。




お兄ちゃんがついてる・・・大丈夫だからな。

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4 Comments

前田慶次 says..."さすがです!"
 麻呂ちゃんと共に戦おうって決心された妹尾さん。なかなか、勇気がなきゃ出来ないことだと思います。
 なんていうか、サラリーマン金太郎の「矢島金太郎」とイメージが重なりました。
 僕もそのようになっていきたいです。
2008.09.21 09:55 | URL | #MDo56pwE [edit]
F says..."いたい…"
水元さん、沖縄の頃に比べて黒さが抜けましたね(^^)
金比羅様、お疲れ様でした。
麻呂くんの話は色々なところが痛いです。 
痙攣…うちのコを思い出します。つらいです。
私は妹尾さんのように強くなれなかったから。
でも、やはり一生懸命に生きようとしている命を
安楽死という方法で終わらせることが出来ませんでした。
続きも読ませていただきます。
2008.09.20 23:47 | URL | #- [edit]
苔丸 says..."野生の本能"
「野生動物は怪我や病気になると、その快復に総ての体力を注ぐ為に、餌もとらず、ただじっとしている。」・・・・
と「カムイ伝」で読んだ記憶があります。
それは快復すると己が強く信じているからでしょう。
私も、目的達成のためには総てのことを犠牲にできる強さを身につけたいと思います。
2008.09.19 07:32 | URL | #- [edit]
へから夫人 says..."リストに追加"
とりあえず、妹尾さんを怒らせると、ともて怖い。
「怒ったら怖い人リスト」に追加しておきます。です。
(ダントツ1番よ)。
麻呂ちゃん物語、もう、毎回涙なくしては見れないです。
そして、ますます妹尾さんと麻呂ちゃんのファンになりました。
2008.09.18 17:36 | URL | #no8j9Kzg [edit]

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