<マンデラの名もなき看守>
ちょっと遅めですが観ました。
いやー、よかったです。
南アフリカの、ちょうど私が生まれた頃からのお話。
ノンフィクション、史実です。
アパルトヘイト・・・バックボーンはこれですが、この言葉を聞くと一つ面白くない思い出がよみがえります。
アホの妹尾は18才の頃、ほとんど社会に無関心な口半開きの青年でした。
「食べたいよー、ひもじーよー、飲みたいよー、ひもじーよー。」
こればっかり繰り返していた、刹那に生きる昆虫のような存在です。
そんな頃、なぜだかこのアパルトヘイトという一種独特の嘘つきイデオロギーを知ったのです。
多分、何かの本かマンガだったかもしれません。
で、当時ネットとか無い時代ですので色々と調べ回ったのです。
驚きました。
何に驚いたかと言いますと、白豪主義、KKK、みたいな思想や団体にではなく、そのことが引き起こしている一般社会現象についてです。
この映画にもそういったシーンが出てきましたが、とにかく黒人を人間扱いしない。
どういう風にしないかは多分想像の範疇を超えた事実があったと思われますが、とにかくひどかった。
むごくて残酷で。
そんな一つ一つの現象にとっても衝撃を覚えましたさ。
うわうわ、これが普通なんだ? って。
その何年か前、私が小学生だった頃に日本中で大ブームになった、<ルーツ>というドラマ、(これは確か黒人の奴隷解放のお話だったと思いますが)、家族でかじりついて観ていたのでその影響もあったのかもしれません。
なんか、とにかく不条理な差別とかへんてこりんな正義とかが大嫌いなので、異常に反応してしまいました。
んで、思い出す事っていうのは。
メタルダーが終わった頃、21才から22才の頃だったと思います。
引き続き南アフリカに興味を残しておりました私は、某ドラマのオーディションに行きました。
質疑応答があり、
「今、興味のあることは何ですか?」
みたいな質問がありましたので、本当のことを言いました。
頭の悪い嘘はすぐに見抜かれてしまうので、格好なんかつけると火傷しますから。
まんまで勝負です。
「すぐに思いつくのは4つあります。
ひとつめ、バイク。これは趣味でもあり、大好きですから。私の一部だと思っています。特にバイクの旅は知り合うことや触れ合うことに無上の喜びを感じます。
ふたつめ、阪神タイガースです。これも私の一部、DNAに組み込まれて生まれてきました。応援している、というレベルじゃないです。自分自身の頑張りですから。
みっつめ。祖母が身体をこわしています。危険な状態です。大好きな人なのでとても心配しています。興味がある、というのとは違いますがいつも心に引っかかっています。無事に元気になって欲しいですから。
よっつめ。アパルトヘイトです。何故かは分かりませんがとても関心があります。人間が人間を操作することに憤りを感じますし、必要悪だとしても納得がいかないことが多すぎて自分には理解できないからです。
あ、あと、付け加えて良いならば今後の自分の人生についても興味があります。この人、どーなっちゃうんだろう?って。
以上です。」
うん、ほとんどこのまんまのことを話しました。
緊張したときにしゃべったことは台詞以外は割と覚えていますから。
すると、面接官のディレクターさんと思しき方が、
「ひとつめとふたつめ、みっつめまでは分かります。そうなんだろうなーって聞いてました。
が、よっつめ、アパルトヘイト? ・・・これは・・・。 ウソでしょ? 格好つけて何か良いことを言わなきゃいけないと思ったでしょ? そういうのわかるんだよねー、こちらは。 とってつけたみたいになってるし。 最後のはいらない。皆そうだから。」
って。
裁判か!
そのとき、何を言い返したか何も言わなかったかは覚えていません。
ただ、そう言われたことにびっくりしてしまって。
ウソついてないのにウソつき呼ばわりされて。
一気にテンションは下がり、その国民的ドラマとかはもうどうでもよくなってました。
と、まぁそんなことがあったのを思い出すんですわ。
<嘘ついてないのに・・・>
っていうオオカミっ子的なことはガキの頃もありましたけどね。
小学生の頃。
<100字帳>っていう書き取りのノートに○○という漢字を書いてこなければなりません。
宿題です。
ただ、私は幼い頃から江戸っ子気質な所?がありまして、宿題とかは絶対にやりませんでした。
そんなヒマねぇ、的に。
明日は明日の風が吹くし、宵越しの金なんて持たねぇし。?
遊び回るのが忙しくて、スケジュールの取りようがありません。
やらないと決めていたのではなく、家に帰ってまで勉強らしきことをするのが大嫌いで。
つまり、やれない子でした。
毎回、先生にノートを提出するときに、
「忘れとった。」
と言う。
忘れてなんかない、覚えてるけど遊ぶのが忙しくてやらなかったの。
いわゆる、どうしようもないだらしなさです。
とにかく宿題はやらなかったです。
夏休みの絵と工作だけはやりました。
嫌いじゃなかったから。
夏休みには<夏休みの友>という、日記形式の、各教科の問題がいっぱいつまった本をもらって帰るのですが、まともに仕上げたことはありません。
8月31日、友達の家をかけずり回って写させてもらうのですが、できないものはできない。
知ーらないって提出します。
「忘れとった。」
って。
「お前はアホか? 1ヶ月まるまる忘れ続けるのか?」
「うん。だって、俺はアホじゃけー忘れるんじゃ。」
どっちかっていうと意気揚々に。
先生は怒ります。
「もーえー、お母さんに来てもらおう。 学校に来てもろーて話さんとおえんな。」
びしばし頭をど突かれながら怒られます。
しばかれたり立たされたり吊されたりするのはじぇんじぇん気にならなくても、親を学校に呼ばれるのは恥ずかしい。
トイレでうんこしちゃうくらい恥ずかしい。
「せんせー、そりゃおえんでぇ。 オカン呼ぶんはずりーわ。」
「アホ言え! 宿題出さんと、忘れたー忘れたー、言よーる妹尾の方がずりーんじゃ。お前ぇみてーなんはいっぺんくらわしちゃらなおえんのんじゃ!」
「なんでなー! ほったら明日までにやってくるけー、明日は忘れんで来るけー。なっ!なっ!」
で、やっぱり持ってこない。
・・・
9月の頭、そんなやりとりが毎年続いたものです。
そういうことを友人達も見て知っているので、たまーに、奇跡的にたまーに本当に宿題をして行くことがあります。
白地図とか、先ほどの漢字帳とか。
自信満々にセンセーに見せます。
「センセー、やってきたで、ほれ!」
って。
先生、凝視。
で、
「妹尾、お前ぇはホンマはやっとらんじゃろ。 前に書いとるとこと字の濃さが同じじゃもん。 前に授業で書いとったのを昨日書いてきたゆーて嘘ついとるじゃろ?
・・・やっとるんかもしれんけど、先生は信じれん。 いっつもやらんのがやってきても信じてもらえんのんじゃ。 分かるか? じゃけぇいっつもちゃーんと宿題やらはやらんとおえんのんじゃ。 のう!」
今思い出してみると、普通の子なら、何なら今の私なら傷ついたかもしれません。
大人って、大人って・・・とか安く叫びながらどこかを走り抜けていったかもしれません。
この言葉を言われたとき、本当に誉めてもらおうと思って漢字を書いて行ってたのに、当時の私はこう思ったのです。
「なるほど!」
アホウってこんなもんです。
で、信じてもらうことを諦めて、それからはすっかり宿題を出さない子に戻っていったのです。
きっと、信用を勝ち取るのは小学校6年間では無理と判断したのでしょう。
しかしながら現在でもこの時のやりとりや、先生の顔の表情までも記憶しておりますので、子供心に何か大きなモノを感じていたのだと思いますがね。
大人っぽいことを言われて、そのまま少し大人になった気がしたことを覚えています。
さ、岡山弁満載でお送りしました今回のネタ、いかがでしたでしょうか?
全てノンフィクション(実話)でお届けしました。
分からない言葉がありましたら、何とかご自分で調べて下さいませ。
無理なようでしたらご質問をどうぞ!
それではごきげんよう!
夏バテ、しちゃだめだぞー。